テルペンという成分をご存知でしょうか?
CBDオイルなどを使用する方で、含有成分にテルペンの名前を見たことがある人は少なくないはずです。
CBD製品にはCBD以外にもその他の成分が含有されていますが、知らない名前の成分が入っていると、口にするCBDだからこそ心配になりますよね。
今回はCBDオイルなどに含まれるテルペンの秘密を解説していきます。
もちろんCBDの事を知らない人にもCBDの魅力を伝えつつ、テルペンとの相乗効果についても触れていきます。
テルペンの身体への影響を知る事で、よりCBD製品を使ってみたくなるはずです。
CBDとは
まずはCBDについてお話しします。
CBD(カンナビジオール)は大麻由来のカンナビノイドの一種で、その効果は身体や精神面に好影響を与える事から、多くの研究が進められています。
大麻由来といいますが、植物から抽出されるカンナビノイドはCBD以外に現在100種類以上確認されています。
しかし研究が進められているものはCBDを含め未だ数種類のみです。
カンナビノイドにはTHCと呼ばれる向精神作用を引き起こす(ハイにさせる)種類もあります。
THCが含まれる製品の所持は日本や欧米の大麻が解禁されていない国・地域では違法となりますがCBDは日本や欧米で合法とされています。
というのもCBDには向精神作用や重篤な副作用がない事が明らかにされています。
下痢や口渇、食欲の変化、強い眠気などの副作用はありますが、用量を守っている分には健康に深刻な被害を与えるほどの重症例は報告されていません。
アメリカでは医薬品としての承認もおりており、てんかんへの薬効が期待できます。
日本ではCBDがもつリラックス効果やストレス緩和効果から、健康食品やサプリメントとしての製品で販売されています。
CBDガムやグミ、パウダーやオイル、クリームなどの外用や、電子タバコのような吸入摂取の製品まで幅広い製品があり、使用者の用途に合わせて使いやすい製品を選ぶ事ができます。
CBDに含まれるテルペンとは?
それではCBDに含まれるテルペンとはなんでしょうか?
テルペンには驚くべき効果があります。
テルペンとは何?
テルペンとは、大麻に独特の香りと味を与える有機炭化水素のことです。
主に受精していない麻の植物に含まれており、その主な目的は、バクテリア、カビ、害虫、捕食者から身を守ること、そして成長期に受粉を担う生物を呼び寄せて受精させることです。
大麻には100種類以上のテルペンが含まれているため、独特の香りがあります。
CBDにテルペンが含まれる製品がある
テルペンが含まれているCBDは1種類にとどまらずいくつもあります。
・CBDオイル
・CBDリキッド
・CBD香水
・CBDワックス
・CBDベイプ
などです。
〈豆知識〉
テルペン含有CBDを探す際に、ブロードスペクトラムと表記されているCBDを見つける事があるかもしれません。
ブロードスペクトラムとは、CBD単独成分を精製したCBD製品ではなく、大麻(麻)に含まれる、THC以外の成分も含んだCBD製品のことを指します。
ここでのCBD以外の成分にテルペンも含まれるので、ブロードスペクトラムのCBD製品を選びましょう。
テルペンの効果は?
テルペンは、カンナビノイドと同様に体内の神経伝達物質と相互作用します。
セロトニン、ドーパミン、ノルエピネフリンなど、気分をコントロールする重要なホルモンに作用して、ストレスを和らげる効果が期待できます。
テルペンは香りのために抽出・分離されることが多く、気分を高める効果があることから、香水やアロマテラピーにも利用されています。
下記の研究ではテルペンがCBD単体では起こせない多様な治療効果を持っている事を示しています。
参照)Taming THC: potential cannabis synergy and phytocannabinoid-terpenoid entourage effects
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3165946/
CBDとテルペンによるアントラージュ効果
テルペンの効果が分かったところで、本題です。
なぜCBDとテルペンを一緒に摂取する必要があるのでしょうか?
ここにはテルペンを単体ではなく、敢えて一緒に摂取する事で得られる効果的な作用があります。
CBDとテルペンを一緒に摂取するメリット
CBDになぜテルペンを含有させるのでしょうか?
まずはシンプルにCBDの効果+テルペンの効果を得る事ができます。
上で述べたようにテルペンにも作用があり、テルペンの中にも種類があるので、種類ごとの作用が異なります。
例えばβ-カリオフィレンというテルペンには、さまざまな大麻の品種、そして多くの葉物野菜に含まれています。
β-カリオフィレンは胃腸を保護する作用に加えて、CB2(カンナビノイド受容体)に直接働きかけます。
ここでCB2とはどのような受容体なのかというと、そもそもCBDが人の身体に作用する時に、
ECS(エンドカンナビノイドシステム)に作用します。
ECSとは、人間の身体機能を保つために休まず働いている、ニューロン、神経経路、受容体、細胞、分子、酵素からなる複雑なネットワークです。
ECSは、免疫系をはじめとしたその他の身体のシステムとも密接な相互作用があり、それらを調節することにより、炎症、痛み、骨の健康、新しい神経細胞の形成、代謝、感情、脳の健康、ホルモンバランスなど体のあらゆる機能を整えます。
このECSを構成する一つがCB2です。
CB2受容体が活性化されると、免疫機能の調整や抗炎症作用などの働きをします。
長くなりましたが、テルペンの効果の中にCBDと同じようにECSに作用する効果があるのです。
参照)Unraveling the Complexities of Cannabinoid Receptor 2 (CB2) Immune Regulation in Health and Disease
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4624216/
そしてもう一つ、CBDとテルペンを一緒に摂取する事で、より効果を得られやすくなります。
それをアントラージュ効果といいます。
期待されるアントラージュ効果について
CBDというのはある程度の量を摂取すると、そこから効果が逆に減弱していくという、用量反応曲線が釣鐘状になっています。
これはCBDの効果には限度があることを意味していますが、テルペンと一緒に服用することで、その効果が向上すると考えられています。
あらゆる成分を同時に摂取することにより効果が高まることをアントラージュ効果と呼びますが、CBDとテルペンが共に相乗効果を起こし、さらなる効果を発揮します。
例えばCBDとTHC、CBNなどは一緒に摂取するとアントラージュ効果を起こしますが、THC、CBNは日本では合法ではないので出来ません。
しかしCBDとテルペンなら合法として摂取する事が出来るので、様々な作用を期待して一緒に摂取する事ができます。
どのように使うと良いのか
CBDとテルペンの摂取についてですが、先ほども述べたように、ブロードスペクトラムのCBD製品を選びましょう。
CBDには種類があり、
・フルスペクトラムCBD
・ブロードスペクトラムCBD
・アイソレートCBD
があります。
ブロードスペクトラムCBDはTHCだけを除いたものと先ほど紹介しましたが、そのほかの種類はどうでしょうか。
フルスペクトラムCBDというのは抽出したそのままの状態のCBDでテルペンももちろんですが、その他のカンナビノイドも含まれています。
なので日本では違法扱いになるので、フルスペクトラムCBDを摂取する事は出来ません。
アイソレートCBDはCBD成分のみという意味です。
なので別でテルペン成分を用意する必要があるので、見つけるのも中々手間だと思います。
よってテルペン含有のブロードスペクトラムCBDを選ぶ事で、バランス良くCBDとテルペンを摂取する事ができるのです。
CBD製品のテルペンの種類
では数あるテルペンの種類の特徴などを紹介します。
ミラセン
ハーブのようなムスク調の香りが特徴で、タイムやレモングラスなどにも含まれています。
穏やかでリラックス効果と抗酸化作用を感じられます。
リモネン
レモンのような香りで、柑橘類の果皮にも含まれています。
抗不安作用とストレス緩和作用があり、気分を上げたい方におすすめです。
カリョウフィレン
クローブやシナモンなどに含まれており、スパイシーでウッディな香りが特徴です。
カンナビノイドに似た成分で、エンドカンナビノイドシステムに働きかけ、心を落ち着かせてリラックスさせる効果があります。
フムレン
ホップや香草に多く含まれるテルペン。
抗炎症作用、抗菌作用、鎮痛作用に加え、食欲を抑制する作用もあるとされており、ダイエットに対する効果も期待できます。
βカリオフィレン
胡椒、バジル、オレガノなどに含まれる、スパイスの効いた香りがするテルペン。
抗酸化作用や抗炎症作用があり、テルペンの中では唯一、CB2受容体(カンナビノイド受容体)に直接作用することがわかっています。
リナロール
ラベンダーの香りの主成分で、強い鎮静作用や殺菌・鎮痛作用があります。また、免疫細胞を活性化して免疫系の働きを高めると言われています。
まとめ
今回はCBDとテルペンの関係性をまとめました。
CBD製品にには含有されている事があるテルペンですが、健康面のサポートに優位に働く事が分かりました。
今後CBDを探す時に、テルペンの種類も見ながらCBD製品を選んでみてはいかがでしょうか。
以上、広島県出身薬剤師、現在はドラッグストア勤務、山口がお届けしました。